任意整理が難しくなる債権者の対応
弁護士が行う債務整理の1つの方法である任意整理の手続は、原則として、債権者ごとに和解契約を締結し、現在の元金と経過利息、場合によっては遅延損害金を合わせた金額を、将来の利息をカットしてもらい、最大60回程度までの分割で支払っていく手続です。
任意整理では、それぞれの債権者と和解契約を締結しますので、債権者側の任意整理に対する考え方の違いによって、任意整理が難しくなることがあります。
まず、債権者によっては、分割での返済を一切認めず、元金に加え、もともとの貸金契約通りの利息や遅延損害金をつけて、一括で支払え、と言ってきます。このような債権者は、残念ながら任意整理がほぼできません。
また、弁護士が介入すると、すぐに和解締結を要求してきて、それができないと早めに訴訟提起をしてくる債権者もいます。債務者によっては、弁護士が介入し、債権者への支払をいったん止め、家計を安定させてから二に整理を行いたい人もいますが、そのようなことが少し難しくなってきます。
次に、任意整理では原則としてカットできるはずの将来利息をつけろと言ってくる債権者もいます。もともとの契約通りの利率よりは低い利率になりますが、将来利息をカットして支払総額を減らせるという任意整理のメリットが少なくなってしまうことになります。
他には、60回での分割には応じず、48回や36回、場合によってはさらに短い期間でないと和解に応じない債権者がいます。こうなると、毎月の返済額が多くなり、任意整理ができないことになりかねません。このような債権者は、弁護士介入前の取引で、短期間の返済しかしていないと、短期間の分割にしか応じない傾向があります。


