任意整理と一括払い
1 債権者に対する債務を一括払いしたら減額できるのか
弁護士として任意整理のご依頼を受けた場合、おおむね、借入金や立替金の元金に加え、債権者から債権額が届け出られた時点までの利息・手数料や遅延損害金を支払額として、債権届出より後の利息、いわゆる将来利息をカットしてもらって、分割で支払っていく形での和解をすることになります。
そうすると、素朴な疑問として浮かんでくるのが、分割で払う場合に将来利息をカットしてもらえるなら、一括で払う場合、債権者にとって有利な条件になるのだから、債権届出までの利息や遅延損害金もカットしてもらえるのではないか、ということです。
2 一括払いでも減額は難しい
しかし、一括払いをする場合であっても、減額は難しいことがほとんどで、むしろ、債権者からは、支払日までの利息や遅延損害金をつけたうえで支払ってほしい、ということで、1円たりとも減額してもらえないことが多いです。
債権者がこのように言ってくる理由は明言されませんが、分割払いしか不可能なのであれば、弁護士が介入して任意整理という形をとっていることもあるので、将来利息カットで分割の和解に応じるが、一括で支払える余裕があるのであれば、契約通り支払う場合と何ら変わらず、減額する理由がない、といったところでしょうか。
そのため、一括で支払う場合には、弁護士に依頼して任意整理という形をとるのではなく、債務者本人で債権者と直接話をした方がよい、と考えられます。


